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| 京都駅から電車に乗ること10分、出町柳駅に到着する。更にここから叡山電鉄に乗り換え15分ほど行くと八瀬比叡山口駅に到着する。京都の中心地よりも山間にあるここ八瀬は少し肌寒く、静寂で落ち着いた雰囲気のあるところである。駅を降りて川のせせらぎに誘われるように歩きだすと、川にはまだツツジや菜の花が咲き乱れ、周囲の緑が一層その色合いを引き立て思わずそのコントラストの美しさに足が止まる。比叡山まではここからケーブルに乗り換えであるのであるが、「瑠璃光院」という看板に思わず足がとまる。川の橋を渡り細い一本の道を歩いていくと「瑠璃光院」の入り口がみえてくる。思わず見逃してしまいそうなほどの入り口が、これから始まる物語の伏線をはっているようでなんだか気持ちが高ぶる。今回は京都の八瀬大原にある「瑠璃光院」についてご紹介していきたい。 |
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ここ「八瀬」の地は「矢背」とも記されるように、壬申の乱で背中の矢傷を負わされた大海人皇子(天武天皇)が「八瀬の釜風呂」で傷を癒されてより平安貴族や武士たちにやすらぎの地として愛され、由緒ある場所である。明治の三条実美公が当時の庵の地に「喜鶴亭」と名づけ、のちに「瑠璃光院」として残されているのである。ガイドブックなどではあまり紹介されていない場所ではあるが、かつては高級旅館としても使われていたこともあり趣のあるところである。
「瑠璃光院」の山門をくぐり石段を駆け上っていくと、喧騒な現世から古来の世界へとタイムスリップをしている架け橋を渡っているような気分になる。自分自身の足音が小さくこだまして、時折風の波に揺られる草木のざわめきはまるで訪れるものを優しく迎えてくれているようである。
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建物の内部に入ると、真っ先に目に飛び込んでくるのは「瑠璃の庭」である。瑠璃色に輝く浄土の世界を象徴的に表した当時の主庭で、一定の気象条件が整うと深々とした苔が瑠璃の光を放ち瑠璃光浄土が現れるといわれている。よくその庭を観察してみると光の屈折の加減によって苔の緑の色が様々な色に変化して、濃い緑、薄緑、黄緑色、深緑、時にはエメラルドグリーンの緑がそれぞれの個性をお互い高め合う光景は感慨無量である。それはまた一口に緑といってもその先の世界は広いこと、知る由があることを、旅人に気づき発見させてくれる光景である。まるで世の中のあらゆる物事に対しての見方もまた、それに順ずることを教えてくれるような光景である。二階へあがると、今度は少し高いところから「八瀬」の町を見渡すことができ、霧がかかった山々はまるで山が呼吸をしているようである。窓から眺めるその景色はまるで数寄屋造りの建物が額縁となって、絵画を眺めているような気持ちになり佇む人々の心を解き放してくれる。 |
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もう一つの見所は「臥龍の庭」である。今にも点にのぼろうとする龍を水の流れと石組みで表現した池泉庭園で、あり昇運の兆しをもたらすのだとか。「瑠璃の庭」とはまた一味違い、石の黒と周囲の緑のコントラストがまた美しく、水の流れが庭に動きをもたらしている。
庭園を眺めていると、雨がしとしと降ってきて、その音が木造の建物の内部にもこだまする。不思議なことに雨が降り出すとまた庭園の緑色が微妙に変化を遂げ、なんだか微笑ましい気持ちさえ芽生えてくるのである。それはかつて体験したことのない「雨宿り」として、喜ばしい思い出に変わる瞬間でもあった。
※拝観できる期間の詳細は直接「瑠璃光院」にお問い合わせ下さい。 |
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掲載期間:2008年9月末出発まで |
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