小倉から再びローカル線に乗って門司港をめざす。海岸線と平行にコトコトと走る列車の窓には、黄昏時の赤い空が一日の終わりをつげている。門司港駅に到着して、駅の切符売り場の看板には文字が右から左へかかれていることに、タイムスリップしたかのような少しの違和感を覚える。レトロな街の玄関口は、変わりゆく時代の中で変わらないもののよさを伝え、古めかしさの中にも凛とした強さと自信を感じる駅でもある。 駅を降りて海岸へ夕焼けに惹かれるように足早に歩いていると、潮風が吹く度に古めかしい船がゆらゆらと揺れ、その後ろには近代的な建物の展望室がみえてくる。「昔」と「今」、この一見相反する光景がお互いにその良さを認め合い尊重しているようで、優しい光景がぐっと心に沁みる。そんな光景を堪能していると、後ろからコトコトと人力車がやってきて海岸沿いを走っていくその光景は、夕焼けの空と相まって優しく一日の終わりを伝えてくれる。気がつけば太陽の沈むのを待っていたかのように今度は三日月が顔をのぞかせ、三日月が合図をしたかのように街の明かりが一つ、また一つ点き、門司港のレトロな町がきれいな夜景の街へと化していく。