角館から田園風景の中、車を走らせること約15分、角館町と田沢湖町の境を流れる玉川の上流約10キロに亘って続く「抱返り渓谷」とよ呼ばれる渓谷がある。 木々の合間から見え隠れする水面を眺めながら、その横にある小道をまだ冷め止まぬ少しの高揚感とともに歩いていくと、吊り橋の入り口がみえてくる。渡るとちょっと揺れ、色褪せた赤色の橋は年月を語りかている様で、どことなく趣きを感じる。この吊り橋は秋田県では最も古い吊り橋で、大正15年(1926年)に完成した「神の岩橋」と呼ばれているものである。 小鳥のさえずり、水が石にあたってしぶきをたてる音、木々のざわめきなど、自然の声に耳を傾けてみると、都会で荒みきった心を浄化してくれる。果てしなく続く美しい水面を眺めながら、心ゆくまで景色を堪能するのは、まさに贅沢な時間である。 ※本来であれば橋を渡り遊歩道をさらに進んでいくと、V字型の谷底に薄い緑や濃い緑、エメラルドグリーンなど、様々な緑が入り混じった川や、回顧の滝などを見ることができるが、現在は工事中や崩落による通行止めとなっているのが残念である。